同族経営は避けるべき
二代目への世代交代がポイント
今から十数年ほど前の話になりますが、土地を持っている地主たちの多くが国の援助を受けて介護施設を設立しました。当初は高齢者や社会へ貢献する気持ちが少なからずあったかと思いますが、そういった介護施設の多くで問題となってくるのが二代目に世代交代をした後です。地主たちの特徴として、知り合いや同族のコネクションを使った経営を好み、外部の介入を過度に嫌う傾向があります。では、重要なポストが同族で占められている同族経営の介護施設にはどのような問題があるのでしょうか?
同族であることのデメリット
上述の通り重要ポストは同族が占めていますので、介護の経験や経営の知識をまったく持っていない人間もいます。例えば、嫁に来たという理由だけで施設の重要ポストに就くといったケースです。好きな時に施設に顔を出し、好きな時間に帰る。子どもを職場に連れてきてずっと遊んでいる。同族経営の介護施設ではこのような光景が見られます。しかし、本当に注目すべきそこではなく、彼らに支払われている給料です。彼らはちゃんと仕事をしているわけでもないのに、莫大な報酬を得ているケースが多いのです。名前だけは知っているけど一度も見たことがない役員に対して、多くの給料が支払われているのです。
環境がどんどん悪化していく
監査に対しても、彼らは地主特有のコネクションを駆使して対策してきます。例えば、議員の家族をVIP待遇で入所させて裏で工作するのです。実際の勤務実績表を提出しようとしても、「その書類はこちらで用意するので結構です」と跳ね返されてしまいます。従業員の話を監査員に聞いてもらえればいいのですが、そういった機会を作らないように対策してきます。その結果、働く職員はひどい待遇を受け続けることになるのです。常に人手が足りなく、過重労働を強いられることになります。彼らが受け取っている報酬のうち少しでも人員確保の費用に回してほしいところですが、彼らは現場の苦労を知らないのでそのような考えを持っていません。
また、労働環境が悪化することによって利用者にも悪影響が出ます。職員たちは疲れ果て、自然と対応が荒々しいものになってしまいます。人手が足りないので、トイレに行きたいと訴える利用者にすぐに対応することができません。そうなると利用者は失禁してしまうので、オムツをつけてもらうことになります。しかし、本来はオムツをつける必要がないのですから、利用者にとっては大きなストレスとなっていきます。そして、そのような環境では次々に退職者が出てしまいます。ただでさえ人手不足なのにさらに忙しくなってしまうのです。